フワフワ

FH000008いま僕の後頭部は虎刈りの状態にある。
しっかりハゲた部分があるわけである。
先週スタジオが終わったあとアサヒナ君が
「ウイさん、今日ずっと言おうと思ってたんですけどハゲてますよ」と申し訳なさそうに指摘。
その日の朝、髪の毛ちょっと伸びてきたなーといつものように朝から洗面所で髪をザクザク切っていた。新品のカミソリの切れ味はバツグンで、爽快に家を飛び出したのだが、まさか後頭部がそんなことになっていたとは露知らず。
その日、職場で誰も指摘してくれなかったので「あぁ親しまれてないんだなぁ」と実感するも、やたらみんな優しかったのは、いわゆるストレス性の脱毛症の類に見えたからかもしれない。とりあえずみんな優しいし「ま、いっか」と放置することにした。というか放置以外何も出来ない。
もう気がつけば5、6年床屋や美容院の類に行っていない。
髪は伸びてきたら自分で切ってしまうのがすっかり定着してしまった。
そんな習慣が身についたのにも、やはり理由がある。
無駄に色気付いた10代の頃、僕はパーマにチャレンジしたことがある。
パーマのパの字も知らない僕は貯めたバイト代を握り締め、行ったことのないようなちょっとお洒落な美容院に向かった。担当はかなりパンクスな若い女の人で、鼻にたくさんのピアスをしてたのを覚えている。パーマのことが良く分からない僕は色々と説明を受けながらも、相手が女の人というのと、お洒落な雰囲気に気圧されて「あ、はい、じゃあそれで、」「お任せします」みたいな受け答えしかできなかったと思う。
細かい注文を出すより、ここはドンっと構えてお任せしますがスマートだろうと当時の僕は判断した。簡単に言うとつまらぬ見栄を張ったわけである。いま考えるとパンクスな彼女に「お任せします」というのは「自由にやっちゃってよファッキンイェー」と同義だなと思う。
かくして1時間程経過した後、鏡の前には貧相なジミ・ヘンドリックスがいた。
僕の感想は「アー」と放心に近いものだったのを覚えている。
幻を見ているかのようなフワフワした感覚に陥った。
美容師さんは「どうですか?」と聞いてきたのだが
僕は「はい、OKです」と即答して財布を取り出していたのを覚えている。
狼狽するのと同時に「なんかもういいや、、」「はいはい、すみませんでした」みたいな気持ちがあった。いま考えても、どうですかもこうですかもない、もうすでにパーマはかかってしまっているのだ。サイは投げられたのだ。覆水はこぼれちゃったのだ。
若干弱めのジミ・ヘンドリクスヘアーを手にした僕は、美容院を出てまたしばらく放心した後、「コレは電車には乗れない、乗ったって構わないが、たぶん乗っちゃ駄目だ、」と2駅ほどの距離を歩いて帰ることにした。
日も暮れ、辺りも薄暗くなってきた頃、人目をはばかるようにアフロヘアーでコソコソ歩いたあの日の家路はいまだに思い出深い。
結局、近所のコンビニに勤める友人のとこに駆け込み「助けてください」とその日のうちにストレートパーマを施してもらい、ワカメみたいな髪の毛でしばらくの日々をすごした。
そんなこんなですっかり美容院から足は遠のき、今に至るわけだが、まぁ過失は僕にありますね。近々心新たに行ってみよう。毅然とした態度で。でもまぁ実際、もはや髪とかどうでも良いな。
そして、先週末はお花見。
久しぶりに自分が主催になろうと張り切って色んなものを用意するも集合時間を伝え忘れ、しばらく一人。これはこれでなかなか良かった。そういえば、春がニ階から落ちてきた。ってのが流行ってきましたね。あんまし、なんでもかんでも映像化しないほうがいいと思うんだけどなぁ、。
MA330066
ウイ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。